社内サーバーを段階的にクラウド化・あるいは上手く共存させるための「ハイブリッドクラウド」について、非エンジニア向けにその仕組みや進め方を分かりやすくまとめました。
事例紹介や依頼する際のポイント、おすすめのパートナーもご紹介しています。
クラウド化を推進する際、ただ移行するわけではなく、「既存環境と上手く組み合わせながら柔軟に構築したい」というニーズにマッチするのが「ハイブリッドクラウド」という構成です。
その名の通り、オンプレミス(=既存の社内サーバー等のインフラ)の環境と、クラウド環境(GCP)とを組み合わせたシステムを構築し、お互いの良いところを補い合うことができます。
2022年度のある市場調査によると、世界のハイブリッドクラウドの市場規模は2022年から2027年にかけて19.63%の成長が予測されています。※
急速なデジタル化やクラウドコンピューティングサービスの普及に伴ってシステムの刷新を検討する企業が増えつつも、どうしてもすぐに移行できない場合や完全移行が物理的に難しい場合などの代替案・折衷案としてハイブリッドクラウド構成が採用される傾向が増えていくことが考えられます。
※ 参照元:株式会社グローバルインフォメーション
「ハイブリッドクラウドの世界市場:業界動向、シェア、規模、成長、機会、予測(2022年~2027年)」
(https://www.gii.co.jp/report/imarc1092063-hybrid-cloud-market-global-industry-trends-share.html)
オンプレミスとクラウドの「良いとこ取り」ができるのがハイブリッドクラウド構成の強み。
具体的には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
ハイブリッドクラウドの構築には、クラウドサービス(GCP)の知識だけでなくオンプレミスの技術や知見が必要不可欠なため、会社選びの際にもハイブリッド構成の構築事例があるかをチェックしてみるとよいでしょう。
オンプレミス・クラウド・ハイブリッドクラウドの違いを分かりやすく表にまとめました。
運用コスト | メンテナンス性 | カスタマイズ性 | 用途例 | |
---|---|---|---|---|
オンプレミス (社内の物理環境) |
高 | △ | ◎ | 機密情報、社内の独自基幹システムと密接にやりとりする場合など |
クラウド ※1 (GCP・AWSなど) |
低 | ◎ ※2 |
△ | 重要度は低いが大量にあるデータ、外部連携したいシステムなど |
ハイブリッド クラウド |
中 | 〇 | 〇 | 独自システムと、オープンデータや外部ツールを掛け合わせたい場合など |
GCPやAWSといった大手クラウドサービス提供元が展開しているクラウドサービスは「パブリッククラウド」と呼ばれています。
パブリッククラウドは、そのサービスを様々な企業が利用している状態で、クラウド上にある大きなマンションのようなサービスです(フロアや部屋はひとつひとつ独立しています)。
それに比べてプライベートクラウドは、クラウド上に建つ一軒家のようなもので、その家主のためだけに建てられた敷地(クラウド環境)を指します。セキュリティ性は高まりますが、構築や維持は高価になりがちです。
システム刷新の予算とデータ運用に必要なセキュリティ度とを加味した上で、どんな環境で構築していくか慎重に選びましょう。
GCPが他のクラウドサービスと大きく違うのは、メンテナンス時にもサーバーを止めることなくサービスを維持できる点です。
点検や不具合修正、アップデートのたびにサービスをいちいち止めてしまうと、自社の通常業務に影響が出たり、顧客にとっても大きなストレスとなってしまいます。
「ハイブリッドクラウド」と似た言葉に、「マルチクラウド」や「オンプレクラウド」があります。
構築の相談時には、オンプレミス・クラウド(・ハイブリッド)それぞれの強みや弱み、特徴などをよく理解して、自社に合ったシステム環境の提案をしてくれるのが理想的です。
実際に、自社環境をクラウド化していくにあたってパートナー会社と擦り合わせていくためには、下記のように自社のサービスやフローを分解して再構築していく必用があります。
データの流れや重要度を整理する
システムを再構築するにあたって、どんな種類のデータがどれくらいの量あり、どう活用しているのか確認します。
取り扱いのセキュリティレベルや業務フローも細分化し、サービス全体のプロセスを分解・整理します。
オンプレミス環境に残すもの・クラウドに移行するものを分け、導線を確認する
既存の環境に残すべきものや残さなくてはならないものはそのままに、クラウド化できるフローやデータを抽出し、その接続や代替方法を考えます。
場合によっては既存の業務フローを見直し、新たに自動化できるフローを検討します。
適切なサービスを選定し、仕様を決めて構築する
2⃣と付随して、GCPのどんなサービスを用いて効率化できるのか、システム全体でどういった設計にしていくのか等、各クラウドコンピューティングサービスの中から適したものを選び、詳細な仕様を詰めていきます。
この時、将来的な運用まで考えて今後柔軟に仕様を変更できるよう、システムに拡張性を持たせておくことも重要です。
GCPによるハイブリッドクラウド化を成功させるためには、第一にGCPの構築・開発に精通しているプロを選ぶことも大切ですが、そのパートナーに自社のニーズやシステム構成をよく理解してもらうことも非常に重要です。
構築後に「期待していたものと違う」「以前より使いづらくなった」といったことになっては元も子もありません。
今抱えている課題感だけでなく、将来的な展望や現場従業員の声、企業理念まで深くヒアリングし、一社一社に合った構成を提案できるシステム会社を選ぶべきです。
ハイブリッドクラウドに関する
ヒアリングが丁寧な会社を知りたい
GCPを用いた具体的なハイブリッドクラウド環境の構築事例を、株式会社エニシアスのケースからご紹介します。
エニシアスは、オンプレ環境を活かしたクラウド化を強みとするクラウドインテグレーターです。
営業を介さず、エンジニアが直接ヒアリングから課題解決に対応。
ユーザーが持つお悩みの本質を掴むことができます。
できるだけ既存の業務フローを大きく損なわず、かつ様々な業務を効率化できるような提案とスピーディな対応で、顧客に信頼されるソリューションを提供しています。
半導体・電子部品などのメーカーであるローム株式会社では、以前より利用していたデータ分析基盤システムを、データの管理・分析・加工・可視化ができるシステムに刷新することを検討していました。
しかし、社内にクラウド全般に関するノウハウが蓄積されておらず、新たなパートナーを探していました。
エニシアスでは、ローム株式会社のケースではクラウドへの完全移行が難しいことが判明したことから、クラウド化できる部分はクラウド化し、オンプレミスとクラウドをシームレスにつなぐハイブリット環境を提案。
それ以外にも、データバックアップセミナーやGoogle Cloudハンズオンセミナーをローム株式会社の社員に向けて開催し、ハード面だけでなく、顧客のソフト面の課題である社内の意識改革までサポートしました。
参照元:エニシアス公式サイト(https://www.enisias.com/successstory/story002/)
今後もますます需要が高まっていく「ハイブリッドクラウド」について、GCPを用いた構築方法や事例を紹介しました。
自社環境(オンプレミス)とクラウド化の良いとこ取りができるハイブリッドクラウドですが、GCPの専門知識だけでなくオンプレミスのネットワーク技術やサーバーの知識も必要になるため、構築の難易度は高めと言えるでしょう。
とは言えDXやクラウド化による業務の見直しが叫ばれる昨今において、GCPと既存のシステムとを組み合わせた負担の少ないシステム更改は魅力的な提案です。
今回紹介した株式会社エニシアスのように、クラウド/オンプレミスどちらの技術力も高い会社に相談してみることで、自社が抱える課題と叶えたい未来とを繋ぐヒントが得られるかもしれません。
「縁(えにし)を明日(あす)に繋げる」という社名の通り、“お客様から選ばれ続けるパートナー”を目指しているエニシアスに興味が湧いた方は、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
エニシアスの公式サイトから
GCP構築支援サービスの詳細を見る
エニシアスは、GCPを始めとしたクラウド構築・導入サービスを中心としながらも、クラウドだけに特化せず、オンプレミスのネットワーク構築スキルも活かした「オンプレミスにも精通したクラウドインテグレーター」として顧客の様々な課題を解決しています。
GoogleCloudパートナーとして公式サイトに掲載されている実績※では、北海道テレビ放送(HTB)の膨大なアクセスログを分析する新システムを構築し、秒間100万アクセスの急激な負荷にも耐えられる環境を実現するなど、GCPが得意とするデータ分析の分野においても、その知見が存分に発揮されています。
※ 参照元:GoogleCloudパートナー (https://cloud.google.com/find-a-partner/partner/株式会社エニシアス
また、ヒアリングからエンジニアが直接対応することも強みとしており、課題の本質を見抜いた解決提案と、それを素早く実行に移す軽快なフットワークも魅力のひとつです。
エニシアスのエンジニア数名が弊社を訪れ、分かりやすいセミナーを実施したことがきっかけとなり、社員の意識が高まり、現在のデータバックアップ施策に活かされております。
また、多くの社員のクラウドに対する理解・知識が深まったことも大きな収穫でした。
※ 参照元:エニシアス公式サイト (https://www.enisias.com/successstory/story002/)
旧システムはオンプレミスのサーバーでしたが、更改後はエニシアスの提案でクラウドサービスを検討した結果、Webサーバーは Google Cloud Platform™ (以下、GCP™)のCompute Engineを採用しました。
(中略)
その後も様々なITの問題にも技術者の目線で分析をしつつ、我々がわかるように説明をしてくれることで、徐々に我々とエニシアスの中に信頼関係が生まれてきたと思います。実は突拍子もない要望もあったとは思いますが、都度、真剣に考え答えを出してくれる、技術力だけではない真摯な対応に、今では絶大な信頼感をもっています。
※ 参照元:エニシアス公式サイト (https://www.enisias.com/successstory/story003/)
会社名 | 株式会社エニシアス (クレスコパートナーズ) |
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設立 | 2014年5月1日 |
所在地 | 東京都品川区西五反田2丁目27番3号 A-PLACE五反田 10F(本社) ※札幌・大阪に支社あり |
TEL | 03-6455-7575(本社代表) |
URL | https://www.enisias.com/ |
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エキスパティーズ |